私と彼と――恋愛小説。

「大した奴らだよなぁ…全く。結局、全てやり遂げたってわけだ」


「そうね。なんだか、薫さんが羨ましい気がしちゃう」


「良い女だったんだろうな。会ってみたい気がするなぁ」


「ホント呆れた感想よね…やっぱり冬馬にすれば良かった」


「俺はもうバツを増やす気はないぞ。お前ぐらい制作意欲を掻き立てる女は居ないからな」


「仲が良いんですねぇ、お二人。お似合いですよ」


「だってさ。さて、俺達は先に帰るわ。涼に言っといてくれ」


腕を絡めるエリナさんに邪魔臭そうにしながらも、最後は仲良さそうに歩いてゆく。


「あー帰っちゃったか。お礼も言って無いのにさ」


いつもの様子で佐久間が私に声をかけた。ジュンさんは照れ臭そうにしている。


「お疲れさまでした」


二人にそう告げて頭を下げる。ただそうしたい気持ちになったのだ。


「こちらこそ。本当に申し訳なかった…加奈子ちゃんには、最初から最後まで迷惑しか掛けてないね」


「ジュンさん――すっかり男言葉ですねぇ」