私と彼と――恋愛小説。

「エリナも流石だったね。下手すれば叩かれるとこだ」


「仕方ないわよ。あの人がありのまま話せって言うんだもの」


『出来過ぎね、映画みたいになっちゃった。二人とも良いオトコで――悩んで新庄を選んだ事を後悔はしないわ』


堂々と笑顔で話すエリナに、非難は陰を潜めた。どちらかと云えば男性中心だったファンは圧倒的に女性が増えていた。


「えっとですね…こんな企画があるのですが」


「抜け目ないわね。加奈子さん」


「すいません…」


「良いのよ、OK出しておくから事務所へ伝えておいて」


「ありがとうございます」


「こちらこそ、ありがとうね。加奈子さん」


エリナさんが頭を下げる。私は何もしていない…筈だ。


「私は何もしてないですよ?」