何故だろう……思いの外、私は落ち着いている。彼がどんな事を語るのか…それを聞いて私がどう思うのか…


そんな事もどうでも良かった。


今この不安定な佐久間を支える事が出来るのは、きっと私だけだ。


「両親は…僕が高校生の頃に亡くなった。交通事故で一緒に…」


「そう…なんだね」


「うん…まあ、それは仕方ないし天涯孤独ってわけじゃなかったからね。小さな家だけど住む場所も…保険金もあったから苦労はしなかったかな」


「そっか…それからは独りで暮らしたの?」


佐久間は寂しそうに首を横に振った。長いため息とともに――