私と彼と――恋愛小説。

「一年って…ずっと休んでないって事?」


「まあ、そうだね。意外に丈夫なんだよ、僕」


「呆れた…身体壊しますよ」


気を付けるよ。そんな風に答えながら佐久間が立ち上がる。私に気付かれない様に時間を確認した。


合間をぬい、私に会いに来てくれたのだ。嬉しくない筈がない。


「ありがと…来てくれて」


「どう致しまして、本当はもっとゆっくり会いたい…」


たまたま二人きりだったエレベーターで、私を軽く抱き寄せて囁いた。


昼間だというのに、腰から力が抜けそうになる。


「私も…今日も遅いですか?仕事」


「んー十時には終わるかなぁ…」


「嫌じゃなければ…待ってます」


「絶対に行く!」


ちょうど開いたエレベーターの扉から怪訝な表情でサラリーマンが私達を見ていた。


慌てて佐久間のスーツを引張って外へ出た。


「声が大きすぎです…」


「ごめん…嬉し過ぎたから」


「子供ですか…」