私と彼と――恋愛小説。

「どうかな?気は楽になるけどね…まだ暫くは書かないといけないのがあるからね」


「短編の六話…ですね」


「うん、そう云う事。それを書き終えたら…」


佐久間が私を見つめて、曖昧な笑いを浮かべた。


「書き終えたら?」


「加奈子ちゃんが聞きたい事を全部話すよ」


「わかりました…それまでは聞きません」


「ありがとう…そろそろ出ようか?実は、僕も結構タイトなんだ」


「それなのに、遊びに来た?」


「顔が見たかったからね。中々会えないしさ」


「欲張り過ぎるからですよ。社長だし、小説書いてるし映画まで作るし…忙しいにも程がありますよ」


「そうだね…此処一年ぐらい休んでないもんなぁ…ジュンちゃんにも、年中怒られてる」