私と彼と――恋愛小説。

会議テーブルへ、見本刷りを広げる。佐久間がしげしげと中身を確認した。


「良いですねぇ。イメージ通りです、取材の内容も良く纏まってますからね。さっそく彼女に見せて、サイトでニュースにして貰いますよ」


周りに居る部員を意識して、佐久間が愉しそうに話す。


「そうですね、彼女に宜しくと伝えてください」


「ええ、その点は任せてください。あーそうだ、高邑さんこの後予定入ってますか?打合せがてら昼でも食べに行きませんか?」


「昼の間なら…まあ大丈夫ですけど」


「そう、それじゃまだ時間があるので十二時に入口で待ってますよ。真田さんのところへでも顔出してきます」


素っ気なく告げて佐久間は出て行く。


「良いなー加奈子さん…私も誘われたい」


冬馬で目を輝かせていたのに、もうこれだ。


「あのね、優子ちゃん。打合せだからね」


「そうですけど…羨ましいものは羨ましいんですよ」