私と彼と――恋愛小説。

「なんだか実感湧いてきますよね…常務まで編集部へ来ちゃうんだ」


優子が横で呟いた。私だって真田常務は、この間まで遥かに遠い人だった。


「加奈子さん、凄いですよね。常務に期待してるなんて…名前まで覚えられて」


妙なところで尊敬される事に苦笑してしまう。


「編集長じゃないけど、胃が痛いわよ…成功させないとね」


「ですよね…でも良かったです。noxに配属されて、創刊なんて中々体験出来ないですもん」


「そうね。随分ラッキーかもね、私も初めてだからさ」


サイトを覗くnoxも広告が現れた。バナーをクリックするとnoxのサイトが表示される。


サイトでは、カヲルを大きくピックアップしている。サイトのユーザーをかなり意識しての作成だろう。


とにかく全てが動き出した。後は反響を待つだけだ。