私と彼と――恋愛小説。

翌日、冬馬の取材はOKだと連絡が入る。優子は嬉しそうだが恭子と組む事に緊張している様子だった。


「加奈子さん…同行ダメですよね…」


「まだ来月の事なんだからさ、近くなったら恭子と打合せなよ」


私がスキャンダル誌の記者なら、スクープ間違いなしの情報を握っている事になる。


新庄監督はエリナとの事は映画の公開迄伏せるつもりらしい。どうせなら話題は多い方が良いと話していた。


しばらくは平穏な日が続く、佐久間は相変わらず忙しそうで、それでもメールやら電話を入れてくれた。


週が明け会社に向かう電車に乗り込んだ。中吊りに並ぶnox創刊の告知…


乗り換えの構内では人の流れも気に掛けず、思わず立ち止まる。


柱に全面巻かれた赤と黒を基調にしたnoxの告知。壮観な光景だ、ずらりと並ぶ赤と黒の柱に鳥肌が立つ。


初めて関わった創刊…歓喜とその重さとが駆け巡る。