私と彼と――恋愛小説。

驚く私の横で佐久間が困惑している。当然の事だろう、知らないとは云えキャスティングしたのは佐久間なのだ。


三角関係にあった三人を繋げてしまった。しかも冬馬とは恋愛に堕ちる内容だ。


「参ったなぁ…よりによって冬馬?事務所のOKもとったのになぁ」


「ん?どうしたよ、涼。何か問題あるのか?」


「そうよ、別に映画には問題ないわよ?」


佐久間のぽかんとした顔など、初めてだ。もっとも私も同じ様な顔をしていただろう。


「ちょっと…まさか、このまま演るの?」


「そうだ。リアリティーが在って良いだろ?こいつも冬馬も迫真の演技が出来るぞ」


「エリナちゃんも…良いの?」


「良いわよ、女優だもの。冬馬にも伝えたわ、彼も降りる気はない見たいよ」