私と彼と――恋愛小説。

どちらにせよ佐久間経由で頼むしか方法は無い。


次月号だと映画の宣伝には早すぎる。制作発表は、次月号と被る予定なのだ。


「えっと…今、大丈夫でしょうか?」


「うん、少しなら話せるよ。何だった?」


「電話で申しわけないんですけど…」


一通りの状況を説明した。


「そうだなぁ…nox創刊で半月後に本が出て、次月号に合わせて制作発表ってシナリオなんだよなぁ…」


「ですよね…エリナさんとかも気難しそうだし」


「あーまあ…女性誌だとね。散々だったからね」


「ですよねぇ」


クスクスと電話の向こうから笑いが漏れて佐久間が言った。


「取材…受けるよ、きっと。彼女もの凄く機嫌が良いんだよね」


「機嫌が良くなるコトが在った…とか?」


「絶対に内緒だよ。僕もさっき聞いた…エリナから」


「何ですか?」


「笑えるんだけどさ…監督の四番目がエリナだった」


「えっ?四番目って――あの?」


「うん、どうやらね。昨夜盛り上がって…今朝入籍したらしい」


「はぁ…私。つい先日、口説かれた気がするんですが」