私と彼と――恋愛小説。

それでも、悪い事ではないのだと思う。彼女達が興味を持つ、それは読者も同じだろう。


「優子…佐久間さんNGだって。他の候補にオファーかけて」


「あー残念…絶対ウケると思うんですけどね。加奈子さん、もう一押し無理ですか?」


諦めきれない風にそう告げる。個人的な部分もあるだろうけれど、評価される誌面を作りたいのも本当だろう。


「ごめん。意外に敵が多いから目立ちたくないって言われるとね…」


「そうですか…確かにそうかもしれないですね。わかりました、また気が変わったらって事で諦めます」


「悪いね、説得出来なくて」


「加奈子さん、他に誰か居ませんか?何せタレントとかじゃないんで見つけるのに一苦労なんです」


「考えてみる。中々難しい企画だわね」


「他と違う事しないと…ですからね」