「おはよう、加奈子。目が腫れてるぞ」


谷女史に指摘されるけれど笑って誤魔化した。


「少し眠れなくて。まあ、大丈夫ですよ。編集長こそお疲れの顔ですよ」


「うん、飲み過ぎだわよ。常務に散々プレッシャーかけられた」


「真田さんと飲んでたんですね」


「今更プレッシャーかけられてもねぇ…後は営業と宣伝次第だわよ」


「確かに…」


「悪いけどさ、カヲルにも雑誌の告知上手く頼んどいてね」


「あっ、はい。もちろんです」


佐久間に連絡する口実が増えた事が少し嬉しい気がした。


馬鹿げているけれど、何度も理由なく電話する事が躊躇われるのだ。


「そうだ、佐久間とは上手くいってるか?」


谷女史の問い掛けは、当然仕事の事だけれどもやはり慌ててしまう。


「順調です…」