私と彼と――恋愛小説。

「スーツ…シワになるかも」


佐久間がクスッと笑う。ゆっくり身体を起こしてベッドを下りる。床に脱ぎ捨てたジャケットを椅子の背に掛けた。


首を傾けて、これで良い?と云った風に私を見る。私は視線を佐久間の下半身へ向ける。


佐久間はスーツのパンツを指差した。頷く私に呆れた顔でベルトに手を掛けた。


「えっと。脱ぐとこ見てるの?」


私は身体をうつ伏せに変え、両手で頬杖をついて佐久間を見る。


「うん、見てるの。恥ずかしい?」


笑いながらベルトを外しパンツを脱ぎ去るとジャケットに重ねる。


「良く出来ました…来て…」


手招きする私に彼がまた笑う。


「今日の加奈子ちゃんは、意地悪だ」


「そうね…好きな子には意地悪するの」