十一時過ぎ部屋で携帯を眺める。水曜日、零時になればサイトの小説は更新される筈だ。その直ぐ後ならば佐久間は携帯の画面を見ている筈だ。
電話をしてみよう――眠りこんでしまった事もきちんと謝りたい。いや、それも言い訳だ。
ただ声を聞きたいと素直に感じている。杏奈の言葉にその気になっただけなのか…それもどうでも良かった。
そう決めてしまうと数十分の時間が途轍もなく長かった。電話をする理由をあれこれと考える自分も情けない。
何の用もなく佐久間に連絡をするのは初めての事で、わけもなく胸が高鳴る。可笑しな気分だ。
「加奈子ちゃん?どうしたの、何か急ぎの用事だった?」
「あっ…いえ、ごめんなさい。特に用事はないんですけど…」
佐久間の背後には人が居る気配はない。移動する様子もないのだから、独りなのだろう。
「それは嬉しい。僕も声を聞きたかった」
照れる様子もなく、ただ嬉しそうにそう告げる。参った…肩から力が抜けて素直な言葉が口を突く。
「私もです…」
「あぁ…何だか、照れるなぁ。あのさ、会いに行って良いかな?」
電話をしてみよう――眠りこんでしまった事もきちんと謝りたい。いや、それも言い訳だ。
ただ声を聞きたいと素直に感じている。杏奈の言葉にその気になっただけなのか…それもどうでも良かった。
そう決めてしまうと数十分の時間が途轍もなく長かった。電話をする理由をあれこれと考える自分も情けない。
何の用もなく佐久間に連絡をするのは初めての事で、わけもなく胸が高鳴る。可笑しな気分だ。
「加奈子ちゃん?どうしたの、何か急ぎの用事だった?」
「あっ…いえ、ごめんなさい。特に用事はないんですけど…」
佐久間の背後には人が居る気配はない。移動する様子もないのだから、独りなのだろう。
「それは嬉しい。僕も声を聞きたかった」
照れる様子もなく、ただ嬉しそうにそう告げる。参った…肩から力が抜けて素直な言葉が口を突く。
「私もです…」
「あぁ…何だか、照れるなぁ。あのさ、会いに行って良いかな?」
