私と彼と――恋愛小説。

「何処まで本気なんだか…」


「僕は――好みじゃない?もしかして、本当に監督みたいなのが良いの?」


「冗談じゃないです。四番目は流石に嫌ですからね」


「今のうちに口説いとかないとねぇ。中々会う機会が無くなるんだよな」


確かにカヲルのフリをしなければいけないのは後一度の予定だった。映画のキャストへの挨拶、それが済めば、佐久間に会う事もそうはないだろう。


「そうでしたね。カヲルになるのも、後一度だけですね」


「だからさ、この際口説かれちゃおうよ」


「軽いんですね。何処が恋愛音痴なんだか」


「とにかく考えておいてよ…」


そんな風に真顔で言われれば、揺らがない筈はない。


「考えておきます…」


私からは、可愛げのない答えしか出てこなかった。