私と彼と――恋愛小説。

「そうですね。結構寂しい仕事なのかも知れないです…でも、映画や小説なら雑誌よりましかも。来年も再来年も、もっと先だって読まれたり見られたり…」


「そうだね――そうなればいいけどね」


独り言のように呟いた。何故だか私が触れてはいけない感慨がある様にも見えてしまう。


「あっそう云えば、佐久間さんにお願いがあるのですけど」


「お願い?加奈子ちゃんの頼みなら聞かないわけにはいかないな」


「あー私からと云うか、編集部からのお願いなんですけど」


佐久間は子供の様に不貞腐れたふりをする。


「つまんないなー。で、何?」


「すいませんね…仕事の出来るイケメンの特集があるんですけど…」


「ん…そういう話か」


「駄目ですか?」


「少し考えるけどね。意外と僕には敵も多い」


可笑しそうに、そう言って笑う。