「大友?誰の名前だよ。名字だけじゃなぁ…名前は聞いてないのか?」
そう云えばジュンさんから名刺を貰った事は無かった。
「そうですよね。良いです…大した事じゃないし」
スポンサーにテレビ局はさほど問題なく回り終えた。帰り際、佐久間からコミックの作者に関する候補を決めたと言われ佐伯と軽い打合せをしている時だ。
佐伯に伝えるのはメールか内線で構わなかったけれど、何と無くジュンさんの事を知らないか聞いてみようと思ったのだ。
「ああ、候補ありがとな。すぐに当たると佐久間さんに伝えてよ」
「ええ、それじゃ…」
「加奈…高邑さん。その大友って他に情報ないのか?わざわざ候補伝える為だけに来たんじゃないだろう」
「いえ、本当に大した事じゃないですから…」
内緒で調べる事への抵抗も在った――
「そう言うなよ。過去には色々あったけど、こうして仕事でも絡んでるんだ…少しは頼れよ」
そんな簡単な事じゃない…今でも話す事も嫌だった。けれども佐伯の表情は穏やかだった。
「ジュンって呼ばれてました。三十半ばぐらいで杏奈の会社の会長が天才だって…何かの都合で大きな会社を辞めて、そのせいで会社が傾いたとか…」
「そうか…佐久間絡みか。あそこの会長が天才?…大友…ジュン」
佐久間が何か思い付いた様にデスクで検索を始めた。
「おい…もしかしてさ――この男か?」
そう云えばジュンさんから名刺を貰った事は無かった。
「そうですよね。良いです…大した事じゃないし」
スポンサーにテレビ局はさほど問題なく回り終えた。帰り際、佐久間からコミックの作者に関する候補を決めたと言われ佐伯と軽い打合せをしている時だ。
佐伯に伝えるのはメールか内線で構わなかったけれど、何と無くジュンさんの事を知らないか聞いてみようと思ったのだ。
「ああ、候補ありがとな。すぐに当たると佐久間さんに伝えてよ」
「ええ、それじゃ…」
「加奈…高邑さん。その大友って他に情報ないのか?わざわざ候補伝える為だけに来たんじゃないだろう」
「いえ、本当に大した事じゃないですから…」
内緒で調べる事への抵抗も在った――
「そう言うなよ。過去には色々あったけど、こうして仕事でも絡んでるんだ…少しは頼れよ」
そんな簡単な事じゃない…今でも話す事も嫌だった。けれども佐伯の表情は穏やかだった。
「ジュンって呼ばれてました。三十半ばぐらいで杏奈の会社の会長が天才だって…何かの都合で大きな会社を辞めて、そのせいで会社が傾いたとか…」
「そうか…佐久間絡みか。あそこの会長が天才?…大友…ジュン」
佐久間が何か思い付いた様にデスクで検索を始めた。
「おい…もしかしてさ――この男か?」
