メイクルームの端をジュンさんが指差した。


「着て見せてよ。今日はあたししか居ないからさ、イメージ違ったら考えなきゃね」


そう言ったまま、ずっと私を見ている。


「あの…ジュンさん」


「ん?どうしたの?」


「えっと…恥ずかしいんですけど」


「あらっ、ごめん。加奈子ちゃんモデルさんじゃないもんね、気が利かないわねあたしったら」


ジュンさんは、笑いながら部屋を出て行った。もしかすると普段のジュンさんならこれ程気にしないかもしれない。


流石に今日のジュンさんの前では服は脱げない。喋らなければただのイケメンにしか見えない。


「もういいかな?」


ドアの外で声を掛けたのは、佐久間だった。


「あっ!はい、大丈夫です」


「うん、良い感じだね。今日はバタバタするけどお願いね」