私と彼と――恋愛小説。

興味はある。少し気持ちも持って行かれてる。


ただそれよりも、放っておけない気持ちの方が強い気がする。


これ迄に会った事がないタイプであることだけは間違いない。この先もっと惹かれてゆくのかもわからない。


それでも気が付けば、佐久間の事を何処かで考えている。好奇心なのか怖いもの見たさなのだろうか?


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「何だか今日は素敵ですね、ジュンさん」


「仕方ないわよ。契約ごともあるからさ、あたしも顔合わせしとかないとね」


例によってジュンさんにメイクと髪型をカヲルに施される。今日のジュンさんはスーツに黒縁の眼鏡でまるでエリートサラリーマン風だった。


考えてみれば背も高くがっしりした肩幅でモデルにでもなれそうな整った顔立ちだった。


「何よ、加奈子ちゃん。あたしの顔じっと見つめたりして」


「何だか格好良いなって思って…眼鏡までしてるし」


「あら。今頃気が付いたの?これでも随分モテたのよ昔はね…」


嬉しそうに話すジュンさんに、男と女のどちらの事か聞きそうになる。言い淀んでいた私に、笑いを堪えられない様子で言う。


「どっちにモテたかって聞きたいんでしょ?女の子よもちろん。この業界にくる迄は普通だったからね」


「そうなんですね…何だか、どこ迄聞いて良いのか難しいですよ」


「気の遣いすぎよ。さて、こんな感じかな?服も用意してあるから着替えて」