私と彼と――恋愛小説。

「確かにそうですね。ネタ切れって感じでもなかったですし」


「まっ、noxとしては上出来だよ。加奈子、文字数とか考えなくて良いからさ文字の校正だけしてこのままで掲載しようよ。下手に弄りたくないわ、これ」


「了解です。そう伝えます」


「じゃあ、暫くカヲルで頑張って。ああ、それからさ…企画で佐久間の取材したいってのが上がってるぞ」


「佐久間の――ですか?」


「そう、出来るオトコの特集。一発でうちの部員持ってきやがったねぇ。見栄えも良いからな」


「まあ、聞いて見ますけど。本人次第でしょうね」


「なんだか乗り気じゃないな」


「乗り気とかそう云う事じゃ無いんですけどね。あまり深入りするのもどうかなって…」


谷女史は私を見つめて少し笑う。


「深入りね、それは編集としてなのか加奈子としてなのか。まあ、聞かないけどな」


私はその言葉に曖昧に笑い返すしか出来なかった。