私と彼と――恋愛小説。

「まあね…理解不能ではあるわね」


「そう云えばさ、noxの短編はどう?」


「悔しいけど…キュンとくる」


「悔しいって…何よそれ、編集の感想じゃないわ。どんなのよ」


「設定はね…ありきたりなの。三十越えたオンナの恋愛。一話目はさ…SEXへ逃げ込むオンナの話」


恭子が興味深そうに私を覗き込む。


「もう…そのうち原稿見せるから、自分で読みなよ」


「悔しい…って事は、共感しちゃったんだ」


「そう云う事。ああ、そうそう!とか思っちゃって…でも、これ書いたの佐久間だって思うと悔しくなった」


「オンナより女心がわかるオトコねぇ。確かに嫌かも」