私と彼と――恋愛小説。

貴女…初めて佐久間に"加奈子ちゃん"以外の呼ばれ方をした。


思わずドキっとしてしまう。佐久間と居ると彼方此方へ感情が振られる。


記事にすればそれなりだったけれど、録音された音声を聞かれた事はやはり恥ずかしくてたまらない。


恋愛観やSEXに関して迄恭子に喋らされたのだ。多少でもからかいの言葉が出ればいたたまれなかった。


けれど佐久間は、そうした事には触れないし笑う事もしなかった。


「何故?ですか…」


「カヲルのイメージそのものだったから…あっと、悪いジュンちゃんから電話だ。ごめん出るね」


「あっ、はいどうぞ」


「そう…もちろんジュンちゃんに任せるよ。カヲルの利益なんてどうでも良い――」


簡単な会話で佐久間は電話を切る。


「社長なのに利益出さなくて良いなんて」


つい笑いながらそう告げてしまった。利益が無ければ成り立たない…私の仕事はそうしたものなのだ。


「うん…まあ色々とね」