私と彼と――恋愛小説。

「今から…ですか。わかりました何処へ伺えば良いですか?」


どちらにしても早く進めなければ、またあちこちから催促が入るのは目に見えている。


「そうだな…加奈子ちゃん食事は済ませた?出来れば付き合って貰えると嬉しいんだけどさ」


夜の九時、何もなければ何処かでテイクアウトでも買って帰るつもりだった。


「まだですけど…」


「じゃあさ、中華でも行こうよ。ジュンちゃんに豪華に食事ぐらい奢れって命令されてんだよね」


本来ならば私が出すべき立場だ。豪華に…の言葉に戸惑うけれど多少の事は大丈夫だろう。


佐久間は店の名前を告げて電話を切った。


編集部へ戻り資料を纏めてバッグへ突っ込んだ。まだ残っていた谷女史に打合せだと告げる。


詰めるところだけ進めれば、後はメールででも遣り取り出来るだろう。