私と彼と――恋愛小説。

「但し、条件は幾つかある」


彼は真顔に戻りじっと私の顔を見つめる。


「とりあえず…新しい珈琲が飲みたいな」


ニヤリと笑いながら空のカップを持ち上げた。


「すぐに買ってきます。ちょっと待ってて下さい」


完全に手玉に取られている…それでも編集長へ伝えなくてはいけない。


店内へ向かいながら携帯を取り出し編集長の番号を選んだ。


「どうよ加奈子。会えたの?」


「ええ、もう…会えたどころか書いてくれるらしいです」


「良し!良くやった加奈子!」


少し興奮した様子で谷女子が叫ぶのが聞こえてくる。


「編集長。とっ…とにかく後で連絡します。色々と問題有りです!」


「あーやっぱり…アレだったか?」


「まあ、アレっちゃアレですが…想像以上にアレです。とにかく確約だけさせてきます!」