私と彼と――恋愛小説。

「それで佐久間さんの処へ再度依頼が来たって事ですね?」


「喰いつくねぇ、恭子さん」


「ライターの性ですかねぇ…差し支えないない範囲で聞かせていただけるとありがたいなと、何しろ私は佐久間さんへの取材も兼ねてますからね」


「そうだよね。僕も取材される立場だったなぁ…そんなに面白い話じゃないよ。うちが推したタレントと不倫騒動のタレントが犬猿の仲でさ、一旦ライバルに決まった案件だからヘソ曲げてるだけ。断れっこないのにね」


そう言いながら余裕の笑みを浮かべた。


「まっ、そんな処かな。さて、余談はこの辺でカヲルの件に戻そうか。恭子さん、今回は申し訳ない。架空の人物へのインタビュー記事を書いて貰う事になっちゃう…」


きっちりとテーブル越しに佐久間が頭を下げた。


「いえ、それは全部飲み込んだ上で請けてますから大丈夫です。でも、どうやって進めますか?」