私と彼と――恋愛小説。

手間隙かけて相当に販売が伸びたとしても、現実は厳しいものだ。売上げは殆どが経費に消える。


人件費、印刷、運搬に書店の利益を差し引けば現実は赤字だろう。広告収入が無ければ成り立たない。


下手をすれば誌面の大半を広告が占める。良いモノを創りたい…その想いは誰にでも在る。


けれどもそれは、広告を載せる価値が在ると云う事とイコールでなければいけないのだ。企画も現実の誌面もスポンサーを意識してしまう。


結果、どの雑誌も似たようなモノになってゆく。今回の〈カヲル〉は、その意味でも大事なコンテンツなのだ。


話題性があり他誌には真似が出来ない…これ迄見向きもしなかった層にもアピール出来る。


多少の憂鬱など気にしてはいけないのだろう。


そうした私の気持ちまで、佐久間の計算の上だと思うとやるせなくなる。


佐久間の中で私が必要なのも、彼のプランの一部なだけなのだ。気持ちがこれ以上深入りする前に逃げてしまうのが得策だろう。