私と彼と――恋愛小説。

「疲れた……」


相変わらず一人の部屋へ戻ると、そのままへたり込みたくなる。


いっそ出迎えてくれるペットでも飼いたいけれど、餌すらきちんと与えられる気がしない。


戻れない日だってある。自分がひととき寂しさを紛らす為に、長い時間この空間に押し込めているのは可哀想に思える。


『くらげなんて良いらしいわよ。死んだら溶けちゃうらしいよ』


誰かに聞いた話だ。確かに水にゆらゆら揺れる姿も綺麗かもしれないなどと一瞬心惹かれたが、案外手間もかかりそうだった。


何より…真夜中に水槽の光を見つめる自分の姿を想像したら、笑えるぐらい滑稽に思えた。


お湯に浸かり化粧を落とし〈カヲル〉のプロフィールを覗く。むきになって書き込む一部の輩を除いて、騒ぎは収っていた。


当然の事だろう。読者は彼等より大人で結局相手にもしなかった。


騒ぎが宣伝になったのだから、随分と不本意だったかもしれない。


それにしても、少しだけこうしたサイトが羨ましく感じたりもする。良い悪いは別として、リアルタイムに反響があるのだ。


時間を掛け、取材や構成を練りこみ漸く印刷されて結果が出る。結果は販売の部数でしかない。