私と彼と――恋愛小説。

「杏奈が羨ましいわよ。あの割り切り方…旦那はペットみたいな…ねぇ」


「その癖に本当はベタ惚れしてるけどね」


「才能だよね。最年少で役員狙ってるらしいわよ、あのオンナ」


「才能ねぇ…売れっ子ライターの恭子さんでも羨ましいんだ」


「そりゃそうよ。加奈子や杏奈みたいに会社が守ってくれるわけじゃないもん。こちとら何時声が掛からなくなるかって不安があるからね」


「まあそうだけど…縛られるよ、時間もお金も。恭子だって散々断ってきたじゃん」


大手ではないにしろ恭子を正式に雇いたいと云う話はあった。面倒だと断ってきたのも恭子なのだ。


「だって無理だもん。毎日会社行くなんてさ…加奈子に言う言葉じゃないな。まあ、取材楽しみにしてるわ」


「私は、全然楽しくないわよ…」