「……ーーな、ハナ、起きて」



いつかの想い出に浸っていた思考を無理やり覚醒させ、重い瞼を抉じ開けた。
まだ曖昧な思考を回転させ、ぼやける視界に映るフユちゃんが私を起こしてくれたのだと漸く理解ができた。

浮かんだ記憶を体が懐かしいと感じるほど時は流れ、いつの間にか称号は女子高生から社会人。


ーーーあれから4年の月日が経過した。



「私いつの間に寝てたんだごめん…」

「まぁ三次会も行けばそうなるって」


クスクス笑うフユちゃんは二日酔いも感じないくらい溌剌で、思わぬところにとんだ酒豪がいるもんだと感心した。
それと比べて記憶も曖昧な上に凄くお酒臭い自分に小物だと身に沁みる。

確か昨晩は高校の同窓会で、楽しすぎて途中から変なエンジンがかかって浴びるように飲んでた記憶がちらほら。
ここがフユちゃん家だということは、浴びる程飲んだ私をここまで運んできてくれたと思うと申し訳ない…。


「はい、水」

「ありがとう。…そしてご迷惑をおかけしたことを謝罪します…」

「いいよ別に。酔ってたハナもなかなか面白いし好きだよ」


私何を仕出かしたんだ…。
まったく社会人にもなって見っともない…。



「それよりハナ、寝言で”ブンベツ”がどうたらこうたらって。ゴミかなんか?」

「…あー…ゴミではないかな…」