鈍器で頭を叩かれたみたいに私の思考が働かなくなって、頭すら痛くなって、なんて言ったらいいのかも分からない。
突きつけられる言葉が私の気持ちを潰して苦しめてる。
そんなことある筈ないって信じてる。根も葉もない嘘を私に植えつけようとしてる。
昨日だって私を惑わした。
『ーーーーーー人妻と不倫してるから』
「あ、アスカさんは何がしたいんですか…」
「ん?」
「そ、そうやって私に嘘を吹き込んで楽しんでるんでしょう?き、昨日だって、」
「まだ信じてないようだから何度でも言ってやるよ。あの人は不倫してるんだよ、男がいる女がずっと好きで結婚しても諦めがついてない。馬鹿みたいに”アヤセ”に拘って、その”アヤセ”だってーーーー」
グッと更に力を込めて私の顎を砕かんばかりに掴んで怒りを露わにしたアスカさんの声を遮ったのは、
「ーーーーーはいはいそこまでー」
煙草を加えて少し肌が焼けた店主のヨシノさんだった。
「こんなアチー中なにやってんだよ」とおちゃらけた様子のヨシノさんの登場で、張り詰めていた空気が途端に消え我に返ったようにアスカさんが手を離した。
「なぁにやってんだよ女子高生相手にお前は」
もう…何やってるんだ私…。
働かなきゃいけないのにこんなことして、挙げ句の果てにヨシノさんにまで世話を焼かせてしまった。

