ブンベツ【完】



お父さんとお母さんには、お祭りで友達と偶然会ってはしゃいで、そのまま友達の家に泊まって寝ちゃった、と嘘をついた。

嘘が上手い方ではない私が能弁になるのは凄く難易なことだった。
もし嘘が晴れてしまったことを想像するだけで冷や汗が出る。

何度も謝る私に両親は「これ以上心配させないでくれ」と言われた時は胸に矢が刺さった。
物凄い打撃だった。

心配をさせた上に嘘つく私を許して欲しい。
本当にごめんなさい、と土下座してもいいぐらいだ。


無断外泊によって与えられた罰は、門限が出来たこと。

夜9時までに家に帰って来ればいいと言われた。
アルバイトが終わったら寄り道せずにさっさと帰ってこいのこと。

夏休みが始まったことによって帰りが遅くなった両親はいい顔をしていなかったから、それ相応の罰だったと納得が出来た。


それでも、カイさんと一つになれたことと比べると後悔はないから全然構わない。

カイさんの息遣いや熱を思い出してはドキドキしてにやけてしまうのは、多分当分直らないと思う。

だから明日会いに行った時どんな顔をすればいいのか分からなくて、頭を悩ましながら眠りに落ちた。

顔を見ただけで顔が火照っちゃいそうで。
今まで通りの態度を取れる自信がない。
だけどそれにサジさんやアスカさんに感づかれて突っ込まれたら、もっとややこしくなってしまうだろう。