車に乗って20分ほどで家の近くまでやってきた。
カイさんとこんな近所まで来るなんて凄い感動を覚えながら、近くのコンビニまで送ってもらった。
凄いあっという間で、まだ一緒にいたいって思いが生まれ始める。
だけど両親にこれ以上心配させる訳にはいかない。
それに帰ってからまた一仕事が残っているからグズグズしてられないのが現実。
罪悪感でいっぱいだけどうまい具合に嘘をつかなきゃならない。
「…送ってくれてありがとうございました」
流石に朝帰りで今日また出掛けるわけにもいかないから、カイさんに会えるのはあしたになりそう。
もう少し…って思うけど心を鬼にしなきゃならない。
困らせないようにグッと我儘を堪えてドアを開けようとしたその時。
「ハナ」
さっきまでハンドルを握ってたカイさんの手が私の元へ伸びてくる。
その手はそのまま通り過ぎ後頭部に回るとグイッとそのまま引き寄せられ、カイさんの綺麗な顔がどんどん近づいてきて。
あ、キスされる…。
そう思いながらお互い瞳を閉じキスを交わした。
一生会えなくなるわけじゃないのに、たった数十時間の別れがこんなに寂しいなんて。
離れたくない。
名残惜しさに数回口づけを交わして、心が満たされる私にわしゃわしゃと髪を乱すカイさんは。

