ブンベツ【完】



後悔なんてまったくなかった。

あんなに激しくて熱い最高の夜は人生で生まれて初めてで、何より好きな人とそうなれた事が幸福に思う。

優しく触れるカイさんの手や舌でたくさん愛でられ、律動を繰り返し終盤に眉を寄せるカイさんの顔を見たときは愛しいとさえ思った。

体位だって何度も変えて、いっぱいキスをして名前を呼んで、愛で満たさせれるってこういう事なんだと。

朝、陽の光で目が覚めた時も天にも昇る心地はまだ変わらずにそこにあった。


いつの間にか聞けられてるブランケットの中でもぞもぞと動き、隣で心地好さそうに眠るカイさんにすり寄る。

今、ここに感じるカイさん素肌と下半身に感じる痛みが、全部夢じゃなかったことを証明している。


そう思うとニヤニヤが止まらない。
どうしよう、こんなに嬉しいことなんて初めてかもしれない。

私、凄い体験をしたんだ。
あのカイさんとまさかこんな風になれるなんて、この前までの私に教えてあげたいくらい。


幸せすぎてずっとこのままでいたいと思いながら、カイさんの素肌に唇を当てると「んっ」と顔をしかめた。

どうやら起きてしまったらしく申し訳なく思って見上げる私の腰をグイッと引き寄せながら薄っすらと重い瞼を開けた。