アスカさんが私に手なんか出す筈がない。
確かにヘラヘラしてるし女の人の扱いにも慣れてそうな感じがするけど、私が許容範囲に入るなんてあり得ない。
ていうかそもそも行くこと自体がよく分からないんだけども。
きっと彼の気まぐれに振り回されてるだけだろうけど。
行ったとしても途中で別行動とかになったりするかもしれない。
「あんたは隙が多い」
以前にも言われたその言葉。
どういうことかいまいち分からないでいると、カイさんの顔が首筋へと移る。
カイさんの息遣いと唇の熱をそこに感じて、優しくキスを落とした。
そして。
「…ーーッん」
チクっとした痛みが伝わった。
ヒリヒリして熱を持ったそこに全神経が注がれる。
思わずそこに触れてみた。
熱い……。
カイさんが、何を、したか分かる…。
でも何で、痕なんか……、
困惑する私に気づいたのか、カイさんはまるで何も言わせまいと唇を再び塞いだ。
痕…ーー所謂、キスマーク。
フユちゃんが以前言っていた。
“キスマークは独占欲の表れだよ” って。

