あの場所にいたくなかった。
カイさんにかまってもらえなくて拗ねてる自分を見られたくなかった。
子供だって思われたくない。
こんなことで何拗ねてんだよって呆れられたくないから。
一目散に居間を出てサンダルをつっかえるように慌てて履いてお店を出た。
外は静かで月が憐れむように私を見てあいる。
…戻ってきたら帰ろう。
早く帰って忘れるように寝てしまいたい…。
明日になれば今より気分は上がっているはずだから。
…ーーって、ちょっと待って。
私なにか忘れてる気が……。
「ッあ!!」
ーーー手ぶらだ…!!!
考えもなしに一目散に飛び出てきたから財布を取り忘れたんだ。
お店を出て5分くらい経っている。
コンビニまで半分も歩いてきたのに…。
「…….はあ…何やってんだろ私…」
あぁ、もうこんなことになるならお店を閉めた時点で有無なしに帰ればよかった。
そしたらこんな思いもしなくて済んだのに…。
「ここ痴漢出るぞ」

