ブンベツ【完】



誰にも気付かれないようにカイさんの方をチラッと見たけど、まるで何にも聞こえてなかったように煙草に浸ってる。

…なんで、話に入ってこないんだろう。

元々口数が少ない人だけど、こんな状況だとそれがなんだか焦れったい。
感情を表に出さない人だとは思ってない。

きっとカイさん以上に素直な人なんていない。
はっきり物事を言う人だ。


……あぁ、だからなのかもしれない。
話に入ってこないってことは、どうでもいいってことなんだ。
興味がないって態度に出てるんだ。

…すごく胸が痛い。


「つまみがないんだけどー。買ってきたやつもう食べちゃったの?」

「お前がベラベラずっと喋ってるからつまみはとっくに俺の胃の中だ」

「サジくん食べすぎっすよー」

「うるせー食いてーなら自分で行ってこい!」

「あ、あの!私買ってきます!」

「え、いいよ!?ハナちゃん何にも悪くないんだから!こいつに買わせに行くし!」

「いえ、あの、か、買ってきます!」


サジさんの言葉を聞き入ることなく思わず飛び出した。