ブンベツ【完】



理由ははっきりしてる。
この人といると私はついてない女になってしまう。
関わっちゃいけない。


「花火大会連れてってやる。友達いねーんだから夏休みの思い出俺が作ってやるよ」

「大丈夫です。お気になさらず」

「どうせ男いないだろ?誘ってくれる友達もいないんだろ?」

「私そこまで根暗じゃありません」

「高校生活最後の夏休みなんだから青春っぽいことしなくちゃだろー。はい、決定ー」

「ちょっと!」


何でこの人は人の話を聞かないの!?
さっきから会話のキャッチボールなんかじゃなくて一方的に投げつけられてる気分だ。

意味がわからない。
高校生活最後の夏休みの花火大会を何でこんな人と過ごすことになってるの!?

行かないって言ってるのに、承諾した覚えなんて一度もないのに挙げ句の果てには「浴衣だろ?男と行くんだからこれジョーシキ」とか訳のわからない持論を突きつけられた。


「サジさんもどうですか!」


行くことを決して安易に認めたわけじゃないけど、二人きりだけは回避したい。
こんな人と二人なんて荷が重すぎる。

だから助け舟をと思って願いを込めきらサジさんを誘うけど。


「ごめんねハナちゃん、行きたいのは山々なんだけど俺その日ムリなんだわ。アスカと二人とか嫌だよなホントごめんね」


私の心情をはっきりと理解してくれてるのは有難いけど、無理強いするわけにもいかず希望は打ち砕かれた。