ブンベツ【完】



カイさんとキスをして変わったことと言えば、私たちの間に暗黙のルールが出来た。

それは何の知らせもなく突拍子もなくやってくる。
カイさんを起こした時やご飯を食べ終わった時、私が帰る時など。

カイさんは突然にキスをしてくるようになった。

キスの程度はカイさんの気分で変わる。
フレンチで終わる時もあれば息が続かなくなるほどされる時もある。

優しく腰を引き寄せ後頭部を固定してカイさんのキスが私を夢へと誘(いざな)った。

「ハナ」と私の耳元で妖艶に囁いて私をドキドキさせる。
カイさんに女として扱われることが嬉しくて堪らない。

会うたび、知るたび、キスするたび、どんどん想いが募っていく。
私ってこんなキャラだったっけ。

こんな乙女チックな女だったなんて知りもしなかった。
恋する乙女のパワーは底知れないらしい。

だけどそれと同時に浮き沈みも激しいのも事実だ。

ほんの些細なことで気持ちが沈んだりする。


それは何時もと変わらない日だった。