初めてここに来た日も、カイさんは無愛想に煙草を吸いながら店番をしていた。
接客業なのにニコリともせず私を見下ろすカイさんが少し怖かった。
容姿は強面じゃないけど、寧ろ中性的だけど、雰囲気がすごく怖くて。
近寄りがたい雰囲気を持つカイさんに話しかけるのは今でも緊張する。
話しかければ答えてくれるし無視はされたことないけど、冷淡に見えるカイさんとの距離が今でも分からない。
「まいど〜!まさか今日もハナちゃんからお電話もらうなんて思ってなかったよ」
お店に豪快な声が届いたのは出前をとって30分くらい経った頃。
カイさんの知り合いらしい近所のお蕎麦屋さん。
そこの配達員のサジさんは2人前のお蕎麦を持ってきた。
「ハナちゃん可愛いから海老天おまけね!」
「俺にも付けたんだろうな?」
「自分で買えやコラ」
「んだと?」

