夜を明かしたあの日から”本当の意味”で元鞘(もとさや)に戻った私たちは、特に何が変わったということもなく、今まで通りの日々を過ごしている。
クリスマスを共に過ごし、年末年始はずっとカイさんの家にいた。
元旦に至ってはアスカさんとヨシノさんを含めたいつもの男性陣が押しかけてきて、また夜通し騒いで夜が明けると日の出を皆で見に行った。
特に何を言われたわけじゃないけど、アスカさんは私達が元に戻ったことに気づいたらしい。
ニタニタしながら「ガキでも作ってさっさと結婚でもしろよ」とセクハラをうけたけど、色々ずっとお世話になりっぱなしだった彼に「ありがとう」と伝えれば「うるせぇブス」と髪の毛を思いっきり掻き乱された。
全てがうまくいっていた
不満なんてなかった。
ーーーーーーある一部を除いて。
『もう〜あんた、年始ぐらい顔を出しなさいよ。お父さんも首を長くして待ってるんだから。年末からずっと言ってるのよ?”ハナはいつ帰ってくるんだ”って』
「……じゃあ明後日、昼間顔出すね」
渋々決断した私の隣でカイさんはクスッと笑った。
”相変わらず箱入りだな”とでも言うように。
新年を迎えた日の夜。
日の出から帰ってきて倒れるように寝ていたら、母の鬼のような着信で目が覚めると辺りは真っ暗だった。
『お母さんが連絡しないと絶対顔を出さなかったじゃない〜』
「ごめんごめん」

