「ーーーーーーー済んだか?」
「ッ」
いったい、いつから、そこに、
「俺のベッドの上で他の男と電話なんて心底腹が立つ、そいつに」
「カイ、さん…」
弁解しようにもどこまで話したら良いか分からない。
母が寄越した縁談なんて余計大事になるだけだ。
必死に頭を回転させて言葉を探す私とは裏腹にゾッとするぐらい冷静なカイさんはベッドに上がってきて間合いを詰めてくる。
…怒ってる、こんなカイさん、見た事ない。
「俺と別れたいのか?」
「ッ!ちがーーーーーーきゃっ」
手首を掴まれてカイさんの体重に押されベッドに沈んだ。
痛いくらいに縫い付けられる両手首は動かそうにもビクともしなくて、見下ろしてくるカイさんの瞳は憤りと共に切なさを孕んでいた。
「絶対ぇ離さねぇ」
苦しそうなその言葉と共にカイさんの唇が触れた。
触れるというよりぶつけるような荒々しいキスは、私に有無を言わせないほどのもので、
捻じ込まれた舌は逃すまいと私の舌に絡んできて応えろと言わんばかりに攻め立てられる。
「もうどこにも行かせねぇ」
私に言ってるのか自分に言い聞かせてるのか、ぶつけられる想いと共に発せられる言葉は苦しそうで、
「俺のものだ。ずっとこの先も、」
泣きそうで、
「死ぬまで、」
傷ついてて、
「アンタは俺のもんだッ!!」

