ブンベツ【完】




「こんなのアリですか!?」

「ほらほら早くしねぇとあと1周でゴールだぞ〜」


順位は4位に転落。1位から私を蹴落としたアスカさんがそこに成り代わってる。

だけどカイさんは凄かった。
あと半周に差し掛かった時、驚異のハンドル捌きで次々と敵を追い抜いていく。
魔法でも使ってるんじゃないかと錯覚が起きそうになるほど、華麗に間合いを詰めて気づけば2位に追い上げた。

けどもうゴールは目の前。
追い抜くには距離が足らないと思った刹那、キノコから羽の付いた甲羅が放たれた。

それは猛スピードでアスカさんを追ってゴールのギリギリのとこで、それは爆発した。


「ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


嘆きの言葉を叫ぶアスカさんは苛立ちに飲まれ、ミニカーが戦意不能で動けない隙にキノコはゴール。
右半分の画面には「WINNER」の文字が神々しく輝いている。

なんとかカイさんのおかげて公開キスは免れた。


「何負けてんだよアスカ〜せっかくハナちゃんのキス顔が見られるチャンスだったのによ〜」


ヨシノさん!?!
眉を下げてアスカさんを足蹴にして本気で残念がってる。というか酔ってる。


「馬鹿言ってんな。あんなエロい顔見せられる訳ねーだろ」

「カイさんッ!!!!!!!!」


恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして声を荒げた私に一斉に場がワッと笑った。

ていうかそ、そんな顔してないし!!!