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「こ、これ、どこ押せば」
「ギャハハハッ!!!!!何事も経験だ!!!」
画面が「START」と切り替わった瞬間、一斉に私以外のキャラクターたちが奇声を上げて走り始めた。
もう状況にすら継いていけてない私はまだ白い線の内側にいてスタートすら手間取ってる。
そんな私を隣にいるアスカさんはゲラゲラ笑って操作を教えてくれない。泣きそうな状況の中、適当にボタンを押すとミニカーはやっと動いたけど思っていたのとは違うことになった。
「ば、お前、ギャハハハハッ!!!逆走!!!!!ギャハハハハッ!!!!」
最早こんなの最初から負け戦だ。ゲーム禁止家系のうちに育てられた私がミニカーを動かせるスペックなんて持ってるはずがない。
結局最後まで何もできなかった私は勿論ビリで、私の右半分の画面には「LOSER」の文字が此処ぞとばかりに主張してくる。
その文字の裏で肩を落とすキノコに、彼の潜在能力を発揮できなかったことに申し訳なく思った。
「しょうがねぇなもっかいやってやるよ」
「もういいです。私とやってもつまらな、」
「うるせーな。次コースここな」
「ちょッひ、人の話聞いてます!?」
「ほら始まるぞー」
画面を見ればさっきとは違う景色で、何故か次は宇宙空間という訳も分からないコンセプトの世界だった。

