ブンベツ【完】



ヨシノさんは言った。

『アイツはハナちゃんじゃなきゃ駄目で、ハナちゃんじゃなきゃこんなことになってねぇしアヤセの時よりアイツは人間らしいよ』と。


アスカさんは言った。

『お前とカイくんが別れた後にアヤセとヨシノくんが離婚しても、カイくんはお前だった。ずっとずっと四年もずっとお前だったんだよ』と。


「ハナちゃんと別れてから暫くした時な?あ、これアイツには内緒ね」


人差し指を唇に当てて意地悪く笑うサジさんに首が頷く。

私の知らないカイさんを知りたいと思う自分と、知りたくないとどこか冷静な自分が二人いる。
聞いて何になる?何が変わる?


「アイツやっぱりダメージ受けててさ、いつも感情豊かな奴じゃねぇけど分かる時は分かんだよ。けど、思ってたよりそう酷くなかったんだ」


こんなにも愛されてるから素直になれって?


「もっと酷いと思ってたんだけどわりと想像よりアッサリしてて。けど、逆にそれがなんか外野からすると危うくて、ぶっちゃけ怖かったんだよ」


カイさんの想いに甘えて同じことを繰り返す?


「見た目そんなんじゃねぇんだけどどこか危険っていうか、いつ弾けるか分かんないギリギリな状態で、」


必要なかったそんな思いまでさせといて都合が良すぎる。


「そんな時、いつものように出前持ってったらよ、アイツ、」




ーーーーー寝ながら泣いてたんだよ。