坊主じゃなくて眉毛もしっかり生えていたから一瞬誰かと思った。
「綺麗になったから一瞬分かんなかった」
相変わらずお世辞が上手いサジさんはそう言って私の隣に腰を下ろして照れ臭そうに笑った。
「まさかハナちゃんと酒を飲む日が来るなんて思わなかったよ。幾つになったの?」
「22です。高校教師をやってます」
「うん、知ってる。アスカがエロ餓鬼の教師やってるって」
「ち、違います!」
なんなの!?サジさんにもカイさんにもヨシノさんにまで言われた!
誤報が流れてる!完全に嫌がらせとしか思えない!
その犯人はお酒片手にカートゲームに夢中だし、ビリになってしまえ!
「…アイツと、」
「え?」
「カイと、ヨリ戻したんだって?」
「……はい」
サジさんの視界に映るのはダルそうにソファーに座ってお酒を飲むカイさんの姿。
今はまだ、私の、恋人である人。
ゲームではしゃぐ人たちをBGMにサジさんは淡々と語る声は、どこか歯切れが悪いようなそんな感じ。
「きっとアスカやヨシノからも聞かされてるんだろうけど、」
「……」
「アイツには、やっぱり、ハナちゃんしかいねぇんだ」
「……」

