事を設けておいて完全に投げの状態の我が母の暴走は凄いものだったと激しく後悔している。
こんな事になるなら電話を無視しないでちゃんと話をつけておけばよかった。
私が返事をしないからきっと強硬手段に出てのこの状況だろう。
早いとこ手を打たないと。これ以上面倒なことにならないように。
取り敢えずあっちからのアクションが来て丁寧にお断りを入れようと決めて画面を落とした。
ベッドに横たわって天井を仰いで、ふと気づく。
「……カイさんと最近会ってないな…」
1週間くらい前まではカイさんの家に入り浸っていたけれど、最近はお互い年末って事もあって仕事が忙しくて大人しく自分のマンションに帰ってる。連絡も疎か気味。
元々連絡をチマチマとるような関係ではなったけれど、ここまで距離が開いたのはよりが戻る前以来かもしれない。
会いたい、と一本電話を入れれば来てくれる確信がある。
けど、それをしないのは歯止めが効かなくなると分かってるから。
「……バカだな、私」
今すぐ携帯が鳴れと願ってる自分に心底呆れる。会いたいと思ってるのは私だけなの?と図々しい思いが頭の中を支配する。
カイさんの匂いがしない自分のシーツを力一杯掴んで耐えるしかない。

