シャワーを頭から浴びるそんな私を、カイさんはきつく後ろから抱き締めた。
自分が裸体である羞恥心よりも伝わる想いや温もりが苦しくて、それに抗わなきゃいけない私はカイさんの腕の中でもがいた。
暴れる私を制圧するように向きを変えて前から痛いくらいに抱き締められる。
それでもイヤだと泣きながら逃げようとする私にカイさんは黙らせるために口を塞いだ。
荒々しいキスは私を貪るように何度も角度を変えて、キスと言うよりかは唇をぶつけるに近い。
カイさんの胸を押す腕は簡単に掴まれてそのまま壁に縫い付けられる。
逃げ道なんてない。イヤだと言った口を塞がれ抵抗する腕は自由がきかない。お互いにシャワーの真下にいる所為でカイさんもびしょぬれで、水が滴る前髪の奥にある瞳は怒っているようにも見えるけど泣いてるようにも見えた。
私の所為でこんな顔をさせてる。
私といた所為でカイさんは本当に大事なものを履き違えた。
もう私も忘れるからカイさんも忘れてほしい。
「ーーーーー…ごめんなさい…もう、嫌です」
カイさんの為になら何だって嘘をつくことなんか簡単のこと。
別れる理由はカイさんの為だなんて絶対言わない。あくまでも"私があなたに呆れた"ってことでなければカイさんは私に負い目を感じてしまう。

