キャパオーバー。
容量を遥かに上回る想いを抱えきれず、気づいたらお店を飛び出していた。
打ち付ける雨と風は私の道を邪魔してくるようで必死に走った。
ただただ走った。カイさんに会いたくて、会って抱き締めたくて、走るしか自分を保つにはそれしか方法がないように思えた。
頬を伝うのは大粒の雨なのかそれともまだ足掻く私の想いなのかは分からない。けど心はズタズタで先なんてまるで見えない。見えるのは雨が打ち付ける地面で傍の排水溝に流れる雨のように自分も流れて浄化槽で真っさらになりたいと思った。
「ーーーーバカかよ?!?!何やってんだお前!!!!」
その時背後から物凄い勢いで肩を掴まれた。
吹き荒れる雨に私と同じように打ち付けられてるアスカさんがそこにいた。
泣く子も黙るかのような鬼みたい顔で私を見ている。いや睨んでいる。
「カイくんから連絡あってお前と連絡つかないからって言われて来てみたらバカかよ?!?」
物凄い鬼の血相で怒鳴りつけると私の二の腕を鷲掴みズルズルと引きづられてお店に戻った。
お互いびしょ濡れで靴下で飛び出した所為で雨を含んで気持ち悪い以外の何物でもない。
けど、そんなことどうでもよくて、私が今一番大事なのは、
「色々叱りつけてやろうかと思ったけど先に風呂だ。靴下脱いでさっさと行けよ」
「カイさんはどこですか?」
「それも後だ。いいからほら、風邪引くだろ」

