挙げ句の果てには責任を私に転化させる開き直りっぷりでもう苦笑いすら出ない。
どうしよう。この現状からどう逃避しようか脳内はシミュレーションの連続だ。
数パターンのアニメーションが脳裏に生産されるからどれが一番労力を使わないか選別をしなければならない。
「カイくん、気づいてるぞ」
あぁ、一番楽なのはこの人に潰れてもらうことかもしれない。
寝てる隙にお金だけ置いて帰れば下手嘘を吐くより全然効率的である上に、なにより男だし持ち帰りされることもないだろう。
だとするとお酒が進む様に美味しいおつまみと会話が必要になる。
「なにがですか?」
今日一のノリのいい声が出た自分が気持ち悪くて笑ってしまいそうだ。
誤魔化す様に少しベタつくメニューを取ろうとした時。
「お前、またいなくなるんだろ?」
私で遊ぶいつものアスカさんの意地悪い声がメニューに触れかかった私の手を停止させた。
「報われないな、カイくんも」
そう言ってニヤリと口元に笑みを浮かべて私を挑発するアスカさん。
「より戻したって聞いたけどハッピーエンドって面じゃねぇもんな?カイくんといるときお前、目が笑ってねぇよ」
「………」
「まるで死ぬ準備してる奴みたいなんだよ。悔いがない様にって顔に書いてカイくんに何ができるか馬鹿みたいにいつも必死だもんな?」

