ブンベツ【完】



その日を境にカイさんと頻繁に会う様になったのは当然のこと。

仕事終わりに会ってそのままカイさんのマンションに行って、朝そこから出勤するのだって稀ではない。
たまに何故かアスカさんも混じって3人で飲んだりして基本週一くらいのペースで会っている。

次の日が休みなら夜飲んだ後、ボーリングやダーツに行ったりして、以前の私には考えられないくらい豹変した日常になった。


「アスカさん酔いすぎです」

「ノープロブレムだ。お前に送ってもらうからな!」

「面倒事を押し付けないでください」


ジョッキを片手に頬を少し赤らめたアスカさんの目の前で呆れ顔を隠せない私は、さっさと帰ればよかったと後悔をしていた。

ほぼ毎週恒例の飲みは同じ場所と時間で始まり2時間前スタートした。

あることを除いて今日は異例中の異例。
それは、


「カイくんがいない上に相手が俺じゃ不満か!」


カイさんが仕事で来れなくなってこの有様に。
この人と飲むメリットなんてあるはずもないのに、その本人には「じゃあまたの機会」という選択肢があるわけもなくその結果が、コレ。

机に並ぶ枝豆と唐揚げにしか興味がない。この人と「会話を楽しむ」なんてものは生温い上に、常に言葉のキャッチボールなんてものは皆無で会話はドッチボールと化している。